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  怪談!熊さんの百物語

鍾乳洞の怪!

お初にお目にかかります。

櫻井さんから怪談話をシリーズで書いて欲しいと依頼されてしまったので、これから月に2回、怪談話を書かせていただきますわ。

一応、 実話なんですけど、信じる信じ無いは各自の勝手。下らないと思う方は聞き流してね?

(by 上原潤


南部の知念海岸のガマ(鍾乳洞)の話

もう、10年位前になりますが、女子大生だったあたしは、沖縄に里帰りしていたのね。夏休みだったから、大学の友達が遊びに連れて行けって沖縄に押し掛けて来たの。 まあ、いいわ。 適当に観光コースを連れ回せば、満足するはずだから。そう思い、南部の知念半島の方に連れて行った時の事よ。

御存じかも知れませんが、南部にはひめゆりの塔やハブセンターが在るのよね。結構人気が高いから、これならどうよ?って感じで連れて来たの。 ジモティーのあたしには、意味無いジャン?だから入り口迄連れて行き、あとは行ってらっしゃい!ってノリ。

って言うか、ひめゆりはあたし、恐いのね。昔社会科見学で行って、ただならぬ雰囲気を感じたのよ。見学者以外の気配を感じるのよね。 だってそこいらに沢山人の気配がするんだもん。 独り残ったあたしは、ひめゆりから離れて海岸線に出たの。 駐車場沿いの海岸に下りる小道を通って。途中に見なれない(あたしですら知らない)ガマ(方言で鍾乳洞を言うの)が二つ在って、一つは落盤で閉鎖されていて入れないのね。 でももう一つは入れるように中が整備されているのよ。止せば良いのに。今考えてみると、引き込まれるように入って行ったわ。

中は音楽ホールの様に入り口が狭く、奥行きがあって天井が高い、いわゆる袋状の構造だったわ、、。 コンクリーの順路が楕円形に壁沿いに伸びていて、見通しも良いし、灯りも定点に点っているのよ。

順路に沿って歩き出したの。誰も居ないので視界は丸見え。でもね、半分も行かないうちに、足音がするの。 反響かと思ってリズムを変えて歩いてみるんですけど、あっちの足音は乱れないのよ。確実に後を付いて来るの。 湿った足音で、昔のズック靴みたいな音。振り返っても誰も居ないし、立ち止まってみると、やや暫くして向こうも止まる。

気配が在るのよ。目に見えない誰かが居るの。最初は二三人だったのに、段々数が増して行くの。 そのうちガヤガヤ大勢の人が話し合っているのが分かって来たの。あれは多分、方言だと思うわ。内地の言葉じゃ無かったわ。 何を話してるのか、くぐもってて分からないのよ。 でも、あれはウチナーの島口(方言)だわ。

最期には、ワイワイガヤガヤ凄く五月蝿くなって、何か大勢で話し合ってるだけじゃなくて、あたしにも何か話し掛けてるのよ〜。 人息が掛かるの。 傍を誰かが通ると空気が動くでしょ?将にあれ!少なくとも何十人の人達だわね、あの人数は。 体中の毛穴が縮んで鳥肌が立ってるのに、頭と背中には脂汗。中は凄く涼しいのにね。

写真も撮り終え、もうダメ、これ以上は限界を越えてるわ!そう思うや否や、脱兎のごとくガマから猛ダッシュ! フローレンスジョイナーのゴール姿みたいにバンザイしたまま飛び出した。追い縋って来るのよ、待ってくれって。 行かないでくれって。耳元で蚊の泣くような声。

もと来た道を慌てて駆け上がって、駐車場に戻ったわ。寿命が確実に縮んだわね。 皆が帰って来る迄恐いから、入り口の所で佇んでいた。 人が多い所に居たかったのよ。生きてる人の、、、。

後日、写真の現像が上がって来たんだけど、まともに写って無いの。 NIKONもOLYMPUSも一眼のフラッシュ付いてるプロ用なのにね〜。 ただ、かろうじて一枚だけ天井を写したものがボンヤリ写ってた。 無数の奇岩。「チンチン洞」と言うその名の通り、浸食によって棒状に突き出た岩肌が無数に写ってた。 殆どが白くなったり、或いは真っ黒になったり、沢山の輝線が走ってたり、、、。

田舎のオバアに話したら、たいそう驚いて、凄く怒られた。なんでそんな恐い所に行ったんだ!ってね。 このままじゃ危ない、お前はもう一度そこに行って、マブイ(魂の事)を拾って来い!と命じられました。 沖縄には古くから、怪奇現象等に遭った時や事故に遭遇した時、人はマブイを落とす、と言って恐れたのです。 落としたマブイは拾って我が身に返さないと、そう遠く無い将来、自分の命に障る、と信じられているのです。

あたしはいやいや命じられたまま、あの恐ろしい「ガマ」に行って、マブイが戻るように祈り、線香とお札を焼いて、おまじないをしてきました。 多分、南部は(那覇から南を指す)地形が変わる位の爆撃を受けているので、殆どの海岸線のガマは防空壕として使用されていた筈。 (まあ、ひめゆりもそうですが)ある者は自決、又ある者は病気で、そして又ある者は銃創が元で、もしくは火炎放射器や手榴弾の攻撃で、命を落とした人々だったのかも知れません、あの声は。

それ以来、あたしは独りでガマに近付かなくなった。オバアは言う。お前は代々ユタ(巫女です)の血を受け継ぐ家系の者。 他の人より見たり聞いたり出来る筈。 ユタの修行を受けるならまだしも、そうで無いのだから、危ない、恐い所に行っては行けない!と。

別に好んで行ってるわけじゃないのよね。気が付いたら、そういう所に居たんだもん。 この事件以前は勿論、そしてこの事件以降も、不可思議な経験を数多くする事になってしまうあたしだわ。
今日のところはこれ位で。
沢山有るから、まだまだおたのしみにね?

あたしのヨタ話でも聞いて、一人の夜を恐怖に打ち震えて過ごして頂戴 ! それでは。


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