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  怪談!熊さんの百物語

お化けアパートの話

僕は大学に入って間もなく、都内にオンボロアパートを借りて住み始めました。ここが失礼な位のお化け屋敷だったのね、、、。いつも誰かが居るのよ。

部屋の隅っこで僕を見つめてるわけなんですが、ある週末、我が家で友達4人、お鍋パーティーをしたの。その時の話です。

(by 上原潤


 十数年来の幼馴染みと言って良いくらいの仲良し4人組の僕達。週末は我が家で集まって、飲み食いするのが習慣だったのよねえ。いつもの通り、お鍋を囲んで皆でワイワイ食べていたの。

 味ポンを取りに行こうと思って、キッチンに行ったのよ。そしたら風呂場の壁から女の人の生首がスポンと出てきて、反対側のキッチンの壁に消えて行ったの。丁度横断してゆくかのように、、、。

 一瞬凍り付いたけど、騒ぎ立てても仕方ないし、その場の雰囲気を悪くしたく無いじゃない?黙ってたんだけど、やっぱり恐くなってその話をしたのね。そうしたら、その中の一人が「髪の長い女の人でしょう?壁から出てきて通り抜けたよね。」だって、、、、やっぱり幻覚じゃ無かったんですねえ。

 その子は詳細に渡って説明してくれた。僕がキッチンに移動したから目で追って居たんだって。手のひらより小さなそれは、僕達を見ながら通って行った。未だ若い人。20代後半から30代位の。

 引っ越して一週間くらいしてから、色んなものが出始めたのよ。金縛りから始まり、耳元を強い風が吹き荒れて、寝ている僕の上に何かがのし掛かってきたり、、、。

 いつも部屋の角の天井の辺りに常駐してるの。男の人。二人居たわ。落ちて来るはずの無いものが落ちてきたり、いい加減ブチ切れて、「いい加減にしなさいよね!家賃半分払いなさいよ!勝手に住み着いて さあ!」と喧嘩する始末。

 その時は流石にゲンナリしたから、その「見える子」に泊まってくれってせがんで泊まってもらったのよ。翌朝、やっぱり金縛りだったって。黒い人間の形をした塊が宙に浮いて、じっと見つめてるんだって。僕の時と同じだわ。しかしまあ、何がしたいのかしらね?

 その日は午後から講議が有ったので、その友人を残して大学へ行った。帰ってきたら、友達が未だ居たのよ。どうしたのって聞いたら、「出た」って言うのね。だから詳しい話を聞く事にしたの。  

 僕が出かけてから、二日酔いのその子は、寝てたんだって。そのうち喉が乾いて水が飲みたくなってキッチンへ行ったんだって。水飲んでついでに顔を洗っていたら、当然、顔は下を見てるわけでしょう?自分の足が見えるわよね?自分の足の隣に、立ってる誰かの足が在るんだって。自分の方を向いて立ってるんだって。すぐ近くに。まるで覗き込んで いるみたいに、、、、。

 恐くて恐くて布団を被って震えてたんですって。可哀想にねえ。僕も実は夕飯を作ろうと思って、キッチンで大根を刻んで下を向いて居た時、自分の足じゃ無い、他人の足を見た事が有るのよ。覗き込んでるみたいなの。自分の右上の誰も居ないはずの空間に誰かの顔が在るの。でもね、見たく無いでしょう?心臓停まっちゃうわ。

 だから知らんぷりして大根切ってたら、そのうちに消えたわ。気配があるから分かるのよ。顔を上げたら、見てはいけないものを見てしまう、それが一番恐かったの。

 そうか、君も見てしまったのね?震える友人に色々話したわ。すると男の人が居るのは知ってるって。見たって。部屋の隅に居る人でしょ?だって、、、。やっぱり他の人にも見えるンだ、、、。僕は夏なのに 冷たい汗を感じたわ。

 だから、その友達に色々告白したのね。この部屋で起きた全ての事を。背中を叩かれて振り向いたら誰も居なかったり、夜中にガヤガヤ五月蝿いから目を覚ましたら、キッチンに若い男の人が4〜5人こっちを見ながら話していたり。暑いから窓を開けて涼んでいたら、生首が窓の傍を通過して、中を横目で見ながら去って行ったり。山のようにありました、そういう怪奇現象?っての。

 友達曰く、ダメ、君は呼び込んじゃうから。ここはあまり良い場所では無いよ。申し訳ないけど、御引っ越しを勧めるわ。だってさ。

僕は更新を待たずに引っ越しました。引っ越す二週間くらい前から総攻撃が始まったけど。まるで「行くな!」と言うかのようにね。本棚から本が飛び出したり、僕の身体から中身を引きずり出そうとしたり、身体が浮いちゃったわよ。

 お札も姑くは効くんですが、またもとの木阿弥。持続しないわ。だから引っ越しを決意したのよ。いまだに在るわよ、そのアパート。かなり古いからもう取り壊しになったかしらと思ったけど、先日ビビ子と御散歩行ったら在ったわ。二度と来ないと誓ったのに、気が付いたら迷い混んでしまった。

 背筋が寒くなった。まるで呼び戻されている様な気がしたのよ。道に迷っているうちに、見覚えの有る所に出たの。そのアパートの前。急いでビビ子をせかして、小走りになって帰ってきたわ。あいつら、まだあそこに居るのかな?住んでる人に影響出るだろうに。恐い、久しぶりにそう思ったある日の午後でした。


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