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  さつきの食ごよみ

たっぷりとした豆の香り、春の豆ごはん。

(by 山内早月


小さい頃は苦手だったのに、
いつの間にか好きになっていた料理というのが、
いくつかあります。

たとえば、薄味に仕上げた菜っ葉と揚げの煮物。
きらいというわけではないのだけれど、
何だか物足りなくて、ちょっぴり苦手でした。

でも、今は違います。
じんわりとだしの染みこんだ菜っ葉の味が、
たまらなく深いものに感じられるようになったのです。

そして、春の豆ごはん。
豆の青い香りが移った豆ごはんも苦手でした。

けれど、今。
売場でえんどう豆を見かけると、
豆ごはんが炊き上がるときの香りが思い起こされて、
たまらなく食べたくなる一品となりました。

豆ごはんが好きな人も、そして苦手な人も。
今ならきっとおいしいと感じられる、
えんどう豆の旬の到来です。

さやから豆を取り出すのは、楽しい手仕事。
えんどう豆は、さやから豆を取り出して洗っておきます。
米をとぎ、通常よりちょっと少なめに水加減を。
そこに豆を入れ、酒と塩を加えて普通に炊き上げます。

あとは炊飯器に任せておけば、
おいしい豆ごはんの完成です。

やっぱり炊きたてが一番おいしい。
別茹でした豆を最後に加えた方が、
緑は鮮やかできれいだけれど、
豆の香りを存分に楽しみたいなら、
やっぱりこの方法が一番かなと思うのです。

春のように穏やかで、
それでいて初夏のようなからっと明るくて。
えんどう豆には、春と初夏と両方の香りを感じます。

酒がほんのり甘やかで清楚な風味を醸し、
塩が豆の青い風味を盛り立てて、
シンプルながらも、じんわりとおいしい豆ごはん。

去年よりも今年の方が、
もっと好きになってしまったような気がします。

私にとっての、豆ごはん。
それは、歳を重ねること、
それにつれて味覚の新たな魅力と出合えることが、
本当に幸せだなとつくづく感じられる一品です。
●豆ごはん

【材料】
えんどう豆、米、酒、塩

【作り方】
1)えんどう豆はさやから取り出し、さっと洗っておきます。
2)米をとぎ、通常より少なめに水を入れます。
3)えんどう豆を入れ、好みの量の酒と塩を加えて炊飯器で炊き上げます。


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